奇跡の天然真珠というタイトルは、
10000個のあこや貝の中では1つか2つしか
天然の真珠が採れないということからです。

というのも、偶然にもタイミングよく
何か小さなものが貝に入り込み、
やがて真珠層が取り巻き真珠となる、
たまたまそんなことがあっても、

採る頃合いが良くないと、偶然見つけても
育ちすぎて死んでいたり輝いていなかったり、
現在の私たちが日頃見かけるきれいなもののように
素敵なものは奇跡でしかないのです。

しかも、大きさは5ミリぐらいがやっと。
それでも丸なら最高級なのです。

自然でできあがる天然真珠について
2回に分けて考察します。

天然真珠はいつからあったの?

真珠好きな方にお読み頂いていると思いますが、
天然真珠は養殖真珠とどうちがうの?
と聞かれることがあります。

あこや貝は遺跡から出土した貝から、少なくとも今から1万年前ぐらいの縄文時代にはあったのでは?と言われています。

天然は自然なもの、
自然なものは価値を感じてしまいます。
養殖真珠が多い今、天然物は今でもあるのでしょうか。

天然真珠には海水と淡水がある


・真珠の採れる貝の種類

 


              (日本ジュエリー協会資料より)
下段中央と右の池蝶貝類は淡水で生息しています。
(ヒレイケチョウガイとイケチョウガイ)

それ以外は海水で育つ貝です。

これ以外の意外なところでアワビがあります。

現在でも養殖をしていないコンクパール、
ホースコンク、アワビなどは天然での産出です。
あこや貝では、天然真珠を採集している国は
わずかとなっていますが存在し、天然あこや
真珠への熱い市場は消えることはないようです。

天然あこや真珠については
この後でたくさんお話ししたいと思いますので
まずは養殖真珠のいついてのおさらいです。

・養殖真珠

海水で育つ貝も淡水の貝も今では人工的に
「核」や「異物」を挿入して養殖真珠を作っています。

養殖産業は、日本が世界に誇る、明治のまるで
国家的事業でした。

欧州の真珠産業を混乱させ衰退させた
御木本幸吉の養殖真珠はご存知の方も多いですね。

あこや真珠の養殖期間は約10ヶ月、
浜上げはその年の11月〜翌年1月の間で、
当年ものと呼ばれています。
1年以上のものは巻きが厚くきれいですが、
養殖期間が長いと貝に負担がかかり、
吐き出したり病気になったり、
リスクが生じて真円にならない率も高くなるそう。

ちなみに淡水真珠は国内では盛んでは無いのですが、
中国などでの養殖期間は、
6〜8ミリで4年半〜5年半や、
7〜8年を超えるものもあるそうです。
あこや真珠と異なり、
核ではないので淡水の場合は

まるまる真珠層でできています。

天然のあこや真珠とは?

 

人の手を通して出来上がる養殖とはちがって
野生のあこや貝は暖か海の岩場でゆらゆらと
ゆれて潮に流されないようにつかまっています。

・あこや貝

体長7センチほどの平たい貝で、
天然のあこや貝は水深3メートルぐらいの所で、
貝から足を出して岩場にくっつけて生息しています。

偶然から異物が混入して核となり、真珠層が巻いて
奇跡的に真珠を作ることがあります。

・あこや真珠の育つ国

 

今ではあこや真珠を採集し生業とすることは
難しくなりましたが、以前は世界のいくつかの
地域で
採られていました。

アラビア湾(ペルシャ湾)、インド、中国、
日本、
ベネズエラが産地でした。

 

アラビア湾(ペルシア湾)=
採取の歴史は古く、4000年前に遡る。
この湾から数多くの採取船が出発した。
(この写真は2年前にカタールを訪れた際に撮ったも
の,
このような船があちこちにみられたようです)
ペルシア湾沿岸の国で産出国の1つの
バーレーンでは、現在では観光産業として
復活しているようです。

これは昔、真珠産業が盛んな頃を記念しての
モニュメントですね。
ずいぶん大きなものでした。

 

インド=
インドの南の王国で、パーンディア朝は

スリランカとの間のマナール湾も
紀元前4世紀ごろから産地として栄え、当時のインド
のマハラジャのいる王国へと輸出していました。

パール!

インドは宝石の宝庫でエメラルド、ルビー、サファイア、
スピネル、ダイヤモンド等、高品質な宝石が
マハラジャの威厳を保つために
ふんだんに使われました。

 

ベネズエラ=
大航海時代にコロンブスが到達した際に

住民が真珠を着飾るのを見て大変驚いたとあります。
コロンブスはこの時点ではインドに着いた!と
思っていたそうで。

マルコポーロの東方見聞録にあったインドに
向けて出航したため、まさか別の所にたどり着くとは。
ここからは、コロンブスらスペイン人による

真珠の略奪の黒歴史が始まります・・・。

 

「16世紀のベネズエラの真珠採りの様子」



 

日本=
日本では縄文時代の草創期、今から1300年前〜
5800年前くらいの遺跡からあこや貝の欠片が
発見されています。

主に九州地方地方の貝塚で出土しているようで
水深3メートル深くもぐって採るのは
容易なことではなく、
食用以外に何か意図的に採集されていたのでは?
という見方もあります。

つまり、万に1つの真珠入りを見つけるためでも
あったのでは?
大量な貝殻だけで固められた層もあってレンガのように
積んで祭壇にしていたのでは?など
縄文の時代のあこや貝についての憶測がわきます。

鹿児島、柊原(クヌギバル)貝塚、草の貝塚
高知県、宿毛貝塚
福岡県、天神山貝塚

②につづく

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