受け継ぐジュエリー
「ビジュー・ド・ファミーユ」

 

こちらの彫刻が素敵な象牙のネックレスはお母様から譲られたとのことで、
大きなパーツが2センチほどのとてもボリューミな逸品でございました。

でも、ネックレスは全体的に黄身色に変色していました。

なぜ、変色するのでしょう。

象牙はタンパク質でできているので経年の陽の光で黄色味に変色したり、
使用後の取り扱いによってさらに変色が進むことがあります。

漂白することで取り戻すことはできますが、経験が無いと表面がボロボロになってしまう可能性
もあるのでお客様の漂白ご希望を伺い、専門の業者さんにお願いしました。

そして、見たところ象牙だと思っていたのですが、実は水牛のボーンということが判明しました。

古くは紀元前からのアクセサリーとして存在していた水牛のボーン。
透かし彫りの伝統が現在も繋がっていることに素晴らしいなと思いながら、
綺麗になったパーツに取り組みます。

 

上記画像のようにとてもきれいになりました。

①  彫刻のパーツとカラフルな天然石の
ロングネックレス

②  5つの大きめ彫刻パーツとチェーンの
ショートネックレス

③   小さいパーツのロングネックレス

ご意向を伺い、三本のネックレスにお仕立てすることとなりました。

①  彫刻パーツとカラフルな天然石のロングネックレス

さて、困ったことにボーンのパーツはとてもきれいです
が、穴が意外にも大きく2.5ミリぐらいあります。
ワイヤーが0.4ミリ、2,5ミリの穴に通すには中で
ゆらゆらします。

いろいろ考えて、穴に合わせた小さなビーズを
穴塞ぎにしてワイヤーを通すことにしました。

 

 

 

白いボーンのパーツに淡い色の天然石のビーズ、
ふわふわな意外なかわいらしさにときめきました。

お客様からもOKが出て
製作もテンションが上がって行きます。

全てのボーンビーズに小さな天然石ビーズをはめていく
のは作っていても楽しかったです。

 

お客様は柔らかくエレガントなお方ですが、
ユーモアや独自性を重んじるようなお方にも感じられて、
このようなアソビごころのあるネックレスを
お気に召していただけそうな気がしいたしました。

 

色とりどりの天然石をお客様の青色のお洋服に合わせたいとおっしゃいます。
何か、イメージをお持ちなのかしらと、
そこをよくお聞きして
そのイメージを具体的に形にして行きます。
爽やか系の色合いのビーズを選んでいただきましたが、
その後のフィッテイングでもう一度選び直し。

 

私はお客様のイメージを形にしてお作りしています。
それはお客様との二人三脚によって

出来上がる奇跡の一本だと思っています。

カラフルな瑪瑙系の天然石にワクワクします。
彫刻の白いパーツとカラフルな石が
スィートのようなかわいらしさ。

                      オレンジのブラウスのお客様、一緒に石を選びます

 

金具はU字型で、
ネックレスのどこにも引っかかるようにします。

ぐるぐると首に回してみたり、下に垂らしてみたりと何通りにも楽しめるようにしています。

 

②  5つの大きめの彫刻パーツとチェーンのショートネックレス

 

③   小さいパーツの
ロングネックレス

可愛らしい小さなパーツを、上記と同じように小さな天然石を穴にはめて繋げて行きます。
このサイズはさりげないシンプルな形に仕上がり使いやすいと思います。

マグネットクラスプで使いやすく。

 

以上、三本のネックレスに生まれ変わりました。

①と③は今回はめがね留め
ワイヤーをワイヤーに巻きつけて繋げていくテクニックで製作しました。

メガネ留めは、繊細さも感じられるエレガントな仕上がりになります。

 

②はカジュアルなイメージ
ボーンの温もりとクールなチェーンとのカジュアルなタイプにいたしました。チェーンも何種類かの中からお選びいただきました。

 

「こんなイメージです」と送られてきた画像は、私も大好きな映画監督「ジェームズ・アイヴォリー」の作品の一コマ、イギリスの20世紀の初めのストーリー、「眺めのいい部屋」でした。
その一枚の画像は、お客様と繋がりを感じられ心強いものでした。

貴重な素材のお母様のネックレスを受け継いだお嬢様が、ご自分のファッションに合わせて新たな形でまたお使いになる、その循環は家族の絆でもあって、また地球にも優しいことだと思います。

その一助になれることはとても幸いと思っています。

最後に、象牙やボーンの取り扱いやお手入れについて

①  使用後はぬるま湯でブラシに石鹸をつけてさささと洗い石鹸分がないようにし、 乾いた布で拭き取り、
陽に当たらないように陰干ししてください

②  乾いたら、なるべく暗所に置いて管理をしてください

③  どうしても年月とともに黄ばんできますが、上記のことをすることによって少しは黄ばみを遅らせる
ことができると思います。

ジュエリーに関して、何かお困りのことがおありでしたらご相談ください。

ご相談だけでも何かの参考になれたら、と思っています。ネックレスが切れたり、古いビーズのネックレスがあって何かにしたい、片方のピアス、イヤリングなどいろいろなご相談を承っております。

 

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